コーチンはインド南部、アラビア海に面した細長いケーララ州に広がる広大な水郷地帯の北端に位置し、天然の入江や湖に恵まれた風光明媚な港町である。古くから交易(特に香辛料)で潤い、フェニキア人や古代ローマ人、アラブ商人などが訪れていたが、16世紀以降はポルトガルやオランダ、イギリスに支配されるなど苦難の歴史を歩んできた。
現代のコーチンはインド有数の国際貿易港として発展を続けている。それぞれの時代の植民地の遺産と、現代的な景観が混在する町並みがコーチンの魅力となっている。
コーチンは4つの地区から成り立っている。島の中心であるエルナクラム(Ernakulam)、その対岸の島ウィリンドン島(Willingtdon Island)は外国貨物船が絶え間なく往来する貿易港で、巨大な造船所や、次々に建つ新しいホテルに見られるように躍進するインド経済を象徴する産業都市としての顔を持つ。地域の西側でアラビア海に面した残りの2つの地区はフォートコーチン(Fort Cochin)とマッタンチェリー(Mattamncherry)で植民地時代の歴史的な見どころが多くなっている。