ダマスカス旅行｜ena(イーナ)の海外旅行ガイド

ダマスカスについて

「エデンの園」のモデルとされる大きなオアシスがある古代都市ダマスカス（Damascus）は、シリア・アラブ共和国の首都である。アラビア語ではディマシュク、別名をシャームと言う。ダマスカスは地中海から約80ｋｍ内陸に位置し、アンチレバノン山脈で海から遮られている。古代からシリア地方の中心都市とされ、ダマスカス近縁にあるテル・ラマド遺跡から紀元前8000年から10000年も昔から人が定住されている事が分かり「世界一古くから人が住み続けている都市」として知られている。紀元前10世紀にはアラム人の王国の首都があった。ダマスカスはローマ時代においてはギリシャ・ローマ文化の重要は中心であり、その後イスラム帝国により征服されウマイヤ朝の首都として栄えた。ダマスカスは古代からさまざまな国に統治された時代の遺跡が残る歴史的地区の宝庫である。日本からは直行便は無いのでパリやイスタンブール、ドバイ他の中東都市から乗り継いで行くのがいいだろう。

ダマスカスの基本情報

通貨: シリアポンド（SPY）
人口: 市域160万人
言語: アラビア語・英語・フランス語
民族: アラブ人
行政区画: ダマスカス県

面積: 105km2
位置: 北緯33度30分、東経36度18分
気候: 地中海性気候で夏は高温で乾燥し冬は温暖で降雨に恵まれる。
時差: 日本との時差はマイナス8時間。

ダマスカスの旅行情報

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ダマスカスの歴史

古代から人々が住んでいたとされるダマスカスはアラム人（アラビア半島から来たセム語派系遊牧民族）の登場によって水道システムが構築され都市の利便性を広げた。紀元前1100年にはアラム人国家の中心都市となり紀元前572年には新バビロニア王国の支配下に入る。その後アレキサンダー大王の大遠征により支配下に入るがアレキサンダー大王の死後、衰退していく。紀元前64年ポンペイウス率いるローマがシリア西部を併合してダマスカスを占領、巨大都市として栄えた。

636年にダマスカスはイスラム最初の王朝でスペイン地方からインドまで広がる「ウマイヤ朝」の首都になった。この時ダマスカスの力は頂点に達したと言われている。キリスト教会をモスクとして改造した、ウマイヤ・モスクは今でも残っている。

その後もエジプトやトルコ、モンゴルなどから統治されるが1516年から1918年の長い年月の間オスマン帝国によって統治される事となり、ムスリムにとって重要なマッカ巡礼に向かうキャラバンの出発地でもあったダマスカスは帝国にとって重要な都市であった。

ダマスカスの特産

シルクロード西の終着地点として栄えたダマスカスには技術的に優れた物が沢山ある。十字軍の間で絶大な人気を誇ったダマスカス鋼は木目状の模様を持つ鋼素材で強靭な刀剣の素材として有名である。製造方法がはっきり分かっていない事から伝説的な刀剣と言われている。

また、ビザンチンや中国で織られ紋様のある絹織物はシルクロード西の終着点ダマスカスを経由して西洋へ運ばれた為、英語でダマスク織と呼ばれるようになった。ダマスク織は麻布、綿や絹等で編まれ、食卓用リネンの他に寝具用にも使われている。

シリアの国花とされるダマスクローズは花精油とされるほど濃厚で甘い香りがし、ローズ水として使用される。主にデザートの香りづけとして利用される事が多いが最近では美容に良いとされ日本でもローズウォーターとして売られている。

古都ダマスカス

1979年に古代都市ダマスカスは旧市街に残る歴史的構造物がユネスコの世界遺産に認定された。城壁に囲まれた歴史ある地域でこの城壁は１世紀頃ローマが最初に建てたと言われている。現在残っているものは13世紀頃十字軍やモンゴル帝国の侵略を防ぐ為にアラブ人が建設したものである。城壁には7つの門が残っている。

城砦から時計回りにBab al-Faraj　[救いの門]、Bab al-Faradis[果樹園の門] 、Bab al-Salam[平和の門]、Bab Touma[トマスの門]、Bab Sharqi[東門]ローマ時代の設計が残る唯一の門、Bab Kisan、al-Bab al-Saghir[小さい門]

他に、ウマイヤド・モスクやサラーフッディーン廟などがあり、十字軍を撃退した英雄サラーフッディーン（サラディン）を埋葬している建物の近くにはサラディンの銅像も建っている。

世界最古の大モスク

アラビアで生まれたイスラム教が中東全土を征服し、「中東の真珠」と呼ばれたシリアの首都ダマスカス。イスラムのウマイヤ朝が成立し、カリフ・ワリード１世が市の中心部に建立した大モスクはイスラム世界に存在する最古のモスクであり、建設に10年以上の月日を費やしたと言われている。イスラム教の4大聖地の１つとして数えられており、周辺のイスラム諸国から巡礼者が訪れる。

もともと、キリスト教会だったこのモスクはビザンチン帝国の大聖堂「洗礼者ヨハネ聖堂」が建っており、首をはねられたヨハネの首を聖遺物としてクリプト「地下祭室」に祭っていた。それをカリフ・ワリードは取り壊させ、敷地に大モスクを建築したが、建築家達はヨハネ聖堂を破壊したのではなく、丁寧に解体し柱とアーチの列を新しいモスクとして利用したと言われている。

中庭に面する礼拝堂中央部の壁面モザイクはビザンチン美術の伝統を受け継いでおり、「コーラン」に説かれる来世の楽園が描かれている。