イエメンの観光スポット
サヌアのシンボルともいえるイエメン門。城壁に囲まれていたサヌアには以前は5つの門があったとされるが、現在は南側に残るイエメン門のみとなっている。近くにはレストラン、両替商、ダッバーブ(乗り合いタクシー)乗り場や小さな店がひしめき合ったスークがあるため地元の買い物客や観光客など多くの人々で常に賑わっている。食料品や雑貨、衣料品、アクセサリーはもちろん、地元の男性が見に付けている半月刀(ジャンビーア)と鞘、腰に巻くベルトなど様々なものが売られており、見ているだけでも飽きない。旅行中に必要なものやお土産も手に入れることができる。スーク付近は道幅が狭く車の乗り入れができない場所もあるため、歩いて散策する方が効率的であり、景観を堪能することもできる。
イエメンのグルメ
主食はインドのナンを大きくしたようなパンで、肉、野菜、魚、米を包んで食べる。羊や鶏を使った肉料理が豊富だが、魚料理もある。「サルタ」と呼ばれる肉や野菜をクミンシード、ターメリックで味付けした石鍋料理が有名。 イエメンでは一般的に大衆食堂は男性の社交場となっているため、女性が入ることはない。女性の旅行者にとっては不便だが、トラブルを避けるためにもホテルのレストランなどを利用した方が良い。なお、タハリール広場周辺や新市街には現代風なカフェなどもあり、場所によっては女性のみの旅行者でも利用可能だが、可能ならホテルのスタッフなどに事前にリサーチした方が良い。
また、イスラム国家のため、酒類は高級ホテルのレストランなどごく限られた場所でのみ飲むことができる。その代わりに、サヌアの街角にはチャイハネやカフェのように気軽に飲み物を楽しめるところがあり、伝統衣装に身を包んだ男性が道端に出した椅子に腰掛けてお茶を楽しむ様子も見ることができる。なお、紅茶などの飲み物には最初から砂糖がたっぷり入った状態で出てくるため、追加で入れる場合には注意が必要である。
世界遺産の街、サヌア
首都サヌアは世界的に有名な古代建築様式がそのままの姿で保存されているため、街自体が博物館のようで歩いているだけでも楽しい。サヌアの旧市街はユネスコの世界遺産に登録されていて、アラブの中でも最古の街のひとつと言われている。サヌアに残る高層建築の独創性は他の古代建築とは明らかに異なり、多くが玄武岩の黒石煉瓦ち泥土で建てられ、イエメン様式を見事に象徴している。街にある14,000以上もの建物のほとんどが紀元前1000年に建てられたもので、歴史的価値のある街である。夜になるとオレンジ色の街灯が灯り、路地はもちろん比較的大きな通りにもネオンや派手な照明を付けた看板などは一切なく、ところどころに付けられた街灯だけが古い街並みをぼんやりと浮き上がら、とても幻想的な気分になる。
世界遺産 シバーム
ユネスコの世界遺産に登録された「シバームの古代都市」。高層建築が特徴のため、「砂漠のマンハッタン」や「最古の高層ビル群」と形容される。シバームはハドラマウト地方の都市で、かつてはハドラマウト王国の首都として数世紀の間、繁栄していた。約7,000人が住むシバームの住宅はハドラマウト地方独特の高層建築で、5階から9階建ての泥煉瓦で作られた住宅が今でも500以上残っている。洪水と遊牧民の襲来から街を守るために建てられた高層建築は、建物の間には連絡橋が設置され、自由に往来ができるようになっている。シバームの歴史自体は2000年以上続いているが、現在も残る高層建築はほとんどが16世紀以降に建築されたものである。ここ数世紀の間には何度も破壊と再建を繰り返し、2008年10月にはハドラマウト地方を襲った豪雨が原因で洪水が起こり、地盤が緩み一部の建物が倒壊するなどの被害が出た。